第22話「シンスケ出陣」

緊急隊によって、初号機のエントリープラグから出され、すぐ、医務室に運ばれるシンジ。どうも怪我がひどいらしい。翌日、検査を終えた、シンジの体調をたずねるミサト。

「リツコ、シンジ君はどうなの?」

「幸い骨は折れてないけど、ひどい全身打撲で、三週間は安静にしてないと。EVAにも、よっぽど無理しないとそれまでは乗れないわね。」

「大丈夫ですよ。ミサトさん。少し休めば直りますよ。」

寝ていたと思っていた、シンジの声がして、少し驚くミサト。

「あら、シンジ君、もう起きてたの。これだけ話せるなら心配要らないわね。」

ダダダダダダ、突如、慌ててミサトに向かって走ってくる青葉シゲル。

「どうしたの。青葉君。」

「ハァーハァー、ミサトさん、大変です。使徒が、第14使徒が出現しました。」

「なんですって。」

そう、シンジは前回、命令違反で独房にいたため、第13使徒と第14使徒との出現時間の間の日数を知らなかったのだ。まさか、すぐ次の日だったとは・・・。

「くそ、僕が乗らないと。」

なんとか、ベットから起きあがろうとするシンジだが、全身の痛みでとても自力では起きあがれない。

「無茶だ、シンジ君。初号機まで僕達が運んで・・・。」

「青葉さん。シンジには無理です。」

「シンスケ君!気持ちはわかるが、シンスケ君がEVAに乗らないわけには・・・。」

そう言いかけて、ハッと思い出す青葉。目の前の人物も初号機に乗れるということに・・・。

「初号機に乗るのは、俺だ。シンジ、しっかり休んどけ。」

「・・・兄さん、任せたよ。」

ついに、パイロットとして、沈黙を守っていたシンスケが動き出す。


事実上のエースパイロットであるシンジが出撃できないので、動揺するNERV本部。・・・チルドレン、ミサト、加持を除けば、シンスケのほうがシンジよりも実力が上である事を知るものはいない。

「シンジ君が、出撃できないんですか・・・。」

シンジがEVAに乗れないことに、マヤは特に激しく動揺していた。

「大丈夫よ。シンジ君の影に隠れて目立たないけど、シンスケ君の腕もたいしたものよ。」

「相変わらず、楽観的ね、ミ・サ・ト。」

呆れ声で言う、リツコ。

「私は事実を言ったまでよ。実際、シンスケ君は予備にしておくには、あまりに惜しいパイロットよ。」

(いえ、本当は間違いなく最強のパイロットでしょうね。なにせ、未来のシンちゃんなんだから。)


「総員、第1種戦闘配置。EVA出撃準備完了しました。」

「初号機シンクロ率65%、弐号機シンクロ率39%です。」

オペレータの報告の直後、使徒が、ジャンプし、第3新東京市に着地すると、即座にATフィールドにより、18の特殊装甲が消滅する。

(これは・・・、シンスケ君の言ってた通り強敵だわ。まさか18の特殊装甲を一瞬で。)

「EVA弐号機、EVA初号機、出撃させて。」

高速エレベータで、地上に運ばれる弐号機と初号機。零号機は前の戦闘で右腕を失っているため、とても出撃はできない。バレットライフルで、ATフィールドを中和しつつ、攻撃するアスカ。シンジは、弐号機の攻撃で動揺している使徒のスキを狙おうとする。

「うそ。」

しかし、弾を撃っても、撃っても使徒にはじかれるライフル弾。アスカに焦りの色が見える。

(シンクロ率39%・・・。今のアスカの状態じゃ、ATフィールドが完全に中和できないんだわ。)

「キャーーーー-。」

すると、使徒の腕伸びてきて、弐号機の首をつかむ。バレットライフルが手から離れ、身動きができないアスカ。使徒の攻撃で、弐号機は両腕を失った。

「ちゃんとついてるわよね。」

あまりの激痛にEVAだけでなく、自分の両腕まで失ったのではないかと怖くなるアスカ。

(やっぱり今のアスカじゃだめだわ。)

今度は森にたたきつけられる弐号機。再び使徒の腕が伸び、弐号機の首が切断される。ミサトの悪い予想があたってしまった。

「弐号機大破!戦闘不能!」

(悔しいーーーーー。またやられたわ・・・。)

すざまじい、使徒の連続攻撃であった。もう、まともに戦えるのはシンスケしかいない。アスカが、エントリープラグから脱出し、すぐに救急隊に救助される。

(くそっ。あまりの速さに使徒の隙をついて攻撃できなかった。これ以上シンクロ率を抑えて戦ってるとやられる。・・・仕方ない本気で行くぞ。)

「初号機シンクロ率上昇します。65.70.75.80.85.90.95.100.102・・・初号機のシンクロ率102.3%で安定しました。」

「なんですって。今までシンジ君の70%が最高だったのよ。(リツコ)」

あまりのシンクロ率の高さに呆然とするNERV一同。まさか、予備のシンスケがここまでやるとは思わなかった。

(ようやく本気を出したな、シンスケ君。)

(絶対にEVAのエネルギーが切れるまでに決着をつけるぞ。)

使徒に向かっていく初号機。ケーブルの長さが限界に達する。

「アンビリカブケーブル切断。予備電源、充電不足により40秒しか動きません。」

(えっ、40秒。短すぎるぞ。)

あらかじめ、前回予備電源が動かなかった為、ミサトにEVAの充電をするよう言っておいたシンスケは言ってあったのだが、一日では限界があったようだ。通常なら予備電源は5分は持つのである。

「シンスケ君、急いでケリをつけて。」

しかし、初号機は、使徒の攻撃にやられ、森に倒れる。時間が刻々と迫っている。手に持っていたプログナイフも、手から離れ、見失ってしまうシンスケ。

「活動限界時間まで、あと23秒。」

(いくら、全力のシンスケ君でも、もう・・・。)

顔がみるみる青くなっていくNERV全職員。もう、プログナイフ再装備をする時間はない。シンスケはすばやく、森の中から起きあがると、最後の手段で、防御を一切考えず、素手て使徒に突撃にいく。

「初号機のシンクロ率また上昇します。103.105.107.109.・・・現在109.2%です。」

(109%!!信じられないわ。)

この数字には、赤城リツコですら冷や汗を流している。シンスケの秘密を知っていたミサトと加持も驚くばかりであった。

「残り時間、12秒」

使徒のコアに向かって、ばくれつ拳をくらわせるシンスケ。

「ウオーーーー--。くたばれ!」

「残り10.9.8.7.6.5.」

高速で威力のあるパンチの連続に使徒のコアにひびが入る。

「4.3.2.・・・使徒活動を停止しました。」

残り2秒というところで、使徒のコアは完全に破壊された。まさに、ぎりぎりの勝利であった。

「初号機パイロットも無事です。」

「ワアーーーーーー。」

前日の第13使徒戦以上の歓声が発令所に響き渡った。

「さすが兄さんだよ。」

病室のシンジもモニターで、使徒殲滅の瞬間を見ていた。残る使徒はあと、リリン(人類)を除いた三つである。


後書き

シンスケが実戦で戦わせるかどうかは、エヴァ2回目、制作当時から悩んでいたんですが、作者が乗せたくなったので・・・。なんともいい加減な理由ですね。最初から決めとけよ。

次回予告

「アスカのシンクロ率がどんどん下がっていく・・・。このままでは、まずいと感じたシンスケがある作戦を実行した。その作戦とは?次回エヴァ2回目「手紙」・・・悪いけど,来週はお休みで今度は12月1日(日)の放送予定なのよ。ごめんなさいね。」


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