第6話「バカシンジ」

「兄さん、今日は疲れたよ。」

「はは、ご苦労さん。JAだか農協だか知らんけど、ロボットをEVAで止めたんだってな。使徒との戦闘ならともかく、そんなことでEVAを使わないで欲しいぜ。」

「そうだね。でも、僕ミサトさん見直したよ。核物質で汚染されてる、みんな怖くて入れない・・・あのロボットの中に入っていって、ロボットを止めることに成功もんな。」

「そうか。ミサトさんもやるときは、やるんだな。」

「そうよ、シンちゃんとシンスケ君、私だってやるときゃ、やるのよ。」

「あっ、ミサトさんいたんですか。お仕事はどうしたんですか?まさかまた、日向さんあたりに、押しつけてきたんじゃ?」

「違うわよ。今日は夜勤なの、まったくもう。」

「その震えた声は、やっぱり仕事押し付けたんですね。」

「違うって言ってるでしょ。」

「むきになってるってことは、やっぱり押しつけたってことですか。流石ミサトさんです。今ごろ日向さんに泣いてるでしょうね。」

事実は、シンスケの言う通り、日向マコトに仕事を押し付けているミサトであった。


「ファーストマイナー(碇シンスケ)、シンクロ率41.3%、ハーモニクスその他、すべて正常値です。(マヤ)」

「だんだんよくなってはいるけど、昨日のシンジ君より6%ほど低いわね。(リツコ)」

「シンスケ君って、シンクロ率だけじゃなくて、反射神経テストと、射撃訓練でも少しだけシンちゃんに劣っているのよね。」

「レイよりはシンクロ率少し高いんですけど、シンスケ君には零号機は乗れませんからね。(マヤ)」

「当分、使徒と戦ってもらうのはシンジ君とレイってことか。(ミサト)」

NERVに、ミサトの発言のように思わせるのが、シンスケの狙いだという事は誰も気づいていない。

「いいえ、ドイツからセカンドチルドレンが送られてくることが昨日決定したわ。正式書類は明日にでも来るわ。(リツコ)」

「そうか。これで戦力UPってわけね。うれしいわ。」

(そうか、もうそんな時期か。アスカ・・・

「フ〜ン、なんかさえない子ね。」
「エッチ!チカン!ヘンタイ!信じらんない。」
「情けない。飼いならされた男なんて。最低!」
「男のくせに」
「あんたそんなことで乗ってんの?ホントバカね!」
「あんたなんかとキスしたからようっ!」
「先鋒はシンジ君がいいと思いま〜す。」

                 アスカ・・・

「この私に、お弁当なしで過ごせと言うの、あんたは!」
「え?まだ聞いてないの?」
「あのばかシンジに負けただなんて・・・悔しい。」
「何よ、スマシ面しちゃってさ。」
「でも、一番嫌いなのは私。」
「ママ・・・ママ・・・・。」
「なんで、あんただけ人生やりなおせんのよ!」

          本当に僕はバカシンジだったな。)

「シンスケ君、シンスケ君、どうしたのシンクロ率10%も落ちてるわよ。(ミサト)」

「あっ、すいません。」

「シンスケ君、よそ事考えてたわね。(リツコ)」

「うぐっ」

「あとで、たっぷり罰を与えてあげるからね。(リツコ)」

「そんなぁ。リツコさん。」

その後、シンスケは赤木リツコから世にも恐ろしい罰をくらったと言われている。


「なんだ、綾波お昼はまた1人で、栄養剤かい。」

「・・・ええ。」

「・・・まあ、返事するようになっただけでも、よしとするか。ほれ、弁当作ってやったぞ。まあ今日は俺じゃなくてシンジが一人で作ったんだけどな。あとで礼いっとけ。」

「わかったわ。」

「・・・お前、明日家に遊びにこないか?ちょっとは人との付き合いってもんを学べ。」

「その、美味しい料理も用意するし、兄さんの言う通りにして欲しいんだ。」

「そう、わかったわ。」

シーン、黙々と弁当を食べるシンジ・シンスケ・レイ。

「兄さん、僕達ってなんか思いっきり暗くない。」

「ああ、そうだな。」

「その、碇君」

「ん何?」

「お弁当・・・ありがとう。」

「ああ、どういたしまして。」

笑顔で答えるシンジ、少し笑ったレイ。

(少しづつ綾波も変わっているのかもしれない、よかった)

・・・シンスケはそう思った。しかし同時に、心のどこかで、シンジとレイの笑顔を見たくない自分に罪悪感を感じていた。


シンジ達が弁当を食べたいた頃、碇ゲンドウは加持リョウジと電話で密談をかわしていた。

「また、君に借りができたな。」

「返す気ないんでしょ。そういえば、あの碇シンスケってのは何者ですか?」

「ただの予備だ。」

「相変わらずですね。それでは、例の件はこっちで手を打ちますから。」

「ああ、そうしてくれ。」

「では、シナリオ通りに。」

ガチャ。電話を切ってから加持は長い間考えこんでいた。

(碇シンスケ・・・いったい何者なんだ。死海文書にも載ってないし、シンジ君が一人っ子だった事も確認ずみだから、双子のはずはないんだが。しかも彼のデータはNERVのもの以外まったくない。ふっ、今度船で会う時が楽しみだな。)

加持はシンスケの事を調べれば、調べるほどシンスケへの興味を増すのであった。


「パンパパン、大パーティの始まり。始まり。(シンスケ)」

「兄さん、なんかすごい人数だね。」

レイが、家に来ると聞いて学校の他の連中も集まってきた。結局このパーティーのメンバーはミサト・シンジ・シンスケ・レイ・トウジ・ケンスケ・ヒカリ・の7人になっていた。

「たった7人だろ。そんなにすごい人数でもないと思うけどね。さて、それでは、まず初めに、大お食事会を始めます・・・って、トウジ勝手に食ってるんじゃねぇ。(シンスケ)」

「別にかまわへんやろ」

「ダメだ。しかも今日のメインディシュが食われてるじゃないか。せっかくみんなのために、俺が5時間もかけて作った料理なのに。ああ・・・(シンスケ)」

「鈴原、みっともないわよ。(ヒカリ)」

「こういうもんは、早いもん勝ちや。」

(トウジ、兄さんのだけじゃなくて,僕が1番手間ひまかけて、作った料理も、ほとんど一人で食べちゃってるよ。せっかく苦労してチャレンジした料理なのに・・・シクシク。)

鈴原トウジの食べる速さと量は人間技ではなかったようだ。そんな中、レイは黙って料理を食べながら、どこか心の中に暖かさを覚えていた。同日、太陽が沈んだ頃・・・

「ビールに強い、ミサトさんがそんなに酔っ払って何本飲んだんですか?(シンジ)」

「うーん、ビール6本とワイン500ml あと・・・ ウイスキーも2杯くらい飲んで あっそうそう ウオッカも1杯飲んだわねぇ。」

「ミサトさんって、意外と酒癖悪いんだな。(ケンスケ)」

「これが底無しでね、しかも毎朝ビールを飲むんだよ。(シンスケ)」

「ひぇー、それはひどいな。(ケンスケ)」

みんな、呆れ顔である。

「ミサトさん、明日からビール2週間禁止です。(シンスケ)」

「そんな、ひど〜い、いいじゃない今日はパーティなんだから。シンちゃん、お願い助けて。」

「僕も兄さんと同じ気持ちです。」

「うう、そんなシンちゃんまで、ひどいわ。私のこと嫌いなのね。(ミサト)」

「そうです。毎日アルコール中毒の人なんて大嫌いです。(シンスケ)」

「そんなぁー、シンちゃんまで、明日からエビチュ−が、エビチュ−が、エビチュ−が」


後書き

第6話「バカシンジ」いかがだったでしょうか?最後のパーティはレイがメインになる予定だったの、に書き終えてみれば1行しか出ていない、レイファンの方すみません。今回から加持リョウジ登場です。文中にある通り、碇シンスケのことを詳しく調べています。彼とシンスケの対話を楽しみにして下さい。(←誰も楽しみにしてないって) では、今回はこのへんでさようなら。

次回予告

「加持リョウジが碇シンスケに興味を持ち始める中、始めて、いやシンスケにとって2度目の初対面の時間が始まった。碇シンスケとは何者なのか?彼らの駆け引きが今始まる。エヴァ2回目、第7話「アスカとシンジ」 さーて、次回もおいしいエビチュ−で、サービス、サービスゥ〜」


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