復讐の神子

            肆の章

 シンは思う。
 (もう、あれから一年も経つのか・・・・そろそろセカンドインパクトの時期だ
な)
 初めてユイと会ってから一年が過ぎ、今ではユイはゲンドウと結婚していた。
 さらに、ユイのお腹は大きく膨れ上がっている。
 ・・・・双子なのだそうだ。
 自分の子供も二年前に産まれた。
 レナに瓜二つの娘で、親の欲目を差し引いても美少女になるであろうと言える。
 名前はレイナ。麗しく心清い女性になるように名付けた。
 このまま家族で平穏に過ごしたいとも思うが・・・・。
 (・・・・無理だろうな)
 今は振り返るときでも立ち止まるときでも無い。
 しかし、ゲンドウの姿を見て、平穏に過ごしたいと思うのは、
 仕方がないし許される事だろう。

 此処は、京都の府立病院である。
 シンは先程から、ゲンドウと共に待合室に座っている。
 多少なりとも震えるゲンドウは妙に笑いを誘う。
 そんなゲンドウを見かねて口を開くシン。
 「ゲンドウ・・・・もう少し落ち着け。みっともないぞ」
 シンを見て言うゲンドウ。
 「俺は義兄さん程強くありませんから・・・」
 ゲンドウの肩をたたいてシンは言う。
 「俺は強くないさ・・・・・。
  俺に言わせれば初対面の相手に愛する者の前で土下座の出来るお前の方が強い」
 ゲンドウが何か言おうとするとレナがレイナを抱いてやって来た。
 「シン・・・。この様子ではまだの様ですね」
 レナに微笑むと、自分の横の席を目で促すシン。
 レナはシンの左に座ると、シンの右に座るゲンドウに言った。
 「ゲンドウさん。あなたも二児の父になるのですから、もう少し堂々となさい」
 返すゲンドウ。
 「義姉さん。・・・そんなことを言われても心配で・・・・」
 レナが忠告をしようとすると、通路に二つの泣き声が響いた。
 「う・・産まれた」
 歓喜に震え涙を流すゲンドウ。
  「良かったな・・・・無事に産まれて」
 シンが横に立つ。
 「はい」
 
 出産は無事成功で、赤ちゃんは男と女の双子だった。
 ・・・ただし、女の赤ちゃんはアルピノだった。
 しかし、二人にはそんなことは関係なかった。
 無事に赤子が産まれた。それだけで満足だったのだ。
 この頃にはセイジも護衛のジンも駆けつけてきた。
 お産が済み、落ち着いたユイは言った。
 「兄さん・・・・この子達の名前だけど、兄さん達の名前から取っていい?」
 頷くシン。
 「別に構わん。お前達が好きなようにすればいい」
 微笑むとゲンドウに視線を送るユイ。
 ゲンドウが口を開いた。
 「男の子は義兄さんから『シン』の名を貰ってシンジ。
  女の子はレイにしました」
 幸せそうに言うゲンドウに聞くシン。
 「その『シンジ』と『レイ』の名に何か願いはあるのか?」
 ユイが言う。
 「はい。『シンジ』は兄さんの様に強く、また真実を見極めるようにと。
  『レイ』の方は姉さんのように麗しく、優しい素直な子になるようにと」
 それを聞き、微笑むシンとレナ。
 「此処に祝おう。シンジとレイの誕生を。そして誓おう。皆に平穏を見せると」
 そう言ったシンの姿はやけに神々しく輝いて見えた。
 ・・・・・まるで彼自身が神で在るかの如く、神話の世界の美しさを纏って。

 それから三ヶ月後。
 セカンドインパクトが起こった。
 ゲンドウは南極よりすでに帰っており、難を逃れた。
 そして此処碇家に一人の老人が尋ねてきた。
 「失礼。碇ゲンドウに会いたいのだが・・・・」
 その初老の男を応接間に通し、シン、ゲンドウ、ユイが会いに行った。
 初めてあったシンに驚いたのか初老の男は立ち上がった。
 「初めまして。私は冬月コウゾウと申します。
  ・・・失礼ですが貴方は?」
 シンが答える。
 「碇家当主碇シン。碇ユイの兄だ」
 その威圧感に気圧されたのか一歩後退する冬月。
 シンが言う。
 「冬月コウゾウ・・・・・お前は今回セカンドインパクトの事で来たな?」
 驚愕する冬月を視界に入れつつ続けるシン。
 「お前も察しているように、
  あれは『ゼーレ』の蛆虫共が葛城博士を殺すために起こしたようなモノだ。
  ゲンドウは危うく難を逃れた。・・・・どうだ?俺の力とならんか?」
 答える冬月。
 「仰っておられる意味が分かりませんが?」
 笑うシン。
 「単純に言えば、我が組織Hell=And=Heavenと共にゼーレを倒そうというのだ。
  ・・・・・分かり易かっただろう?」
 考え込む冬月。
 「お前が俺達と同じ道を行かぬなら何も言わん。多少なりとも監視がつくがな」
 そんなシンに答える冬月。
 「私は貴方に協力しましょう。
  あんな事をしでかすとはゼーレという組織は信用なりません」
 微笑むシン。先程までの異様なプレッシャーも消えて行く。
 「ならば歓迎しよう。これより、『ゲヒルン』は『NERV(ネルフ)』と名を変え
る。
  我がHell=And=Heavenの傘下に入りゼーレと決別しろ。
  今ゲヒルンにいるゼ−レのスパイ共は始末する」
 シンの言葉に頷く一同。
 この時から始まった。シンとレナの六年間にも渡る夢が・・・・。
 シンに従う者達の願いが・・・・。

 此処より堕天が始まった。
 始まりの亜神と一部の人間達の・・・。


   後書き

 どもレンでございます。
 今回は二人の子供が誕生という形になりました。
 この世界の『シンジ』と『レイ』です。
 一応、分かり易いように後日、設定資料を書こうと思います。
 今回の失敗はゲヒルンの綴りが分からなかったことです。
 誰か教えてプリーズ。
 ・・・・では、また後日。

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 トマトのコメント

 さて、セカンドインパクト発生。冬月がシンの味方になりました。
 シンジとレイが血縁関係…。これじゃLRSになるわけないですよね。
 第1話からLASって言われてましたけど。
 LRSファンの皆さん残念でした。
 ではレンさんに感想メールをよろしくお願いします。
 読者の感想はSS書き人への1番の薬です。

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