第16話「秘密」

学校帰りに大雨が降ったため、ミサトの家に避難するシンジ達。

(綾波・・・、あのデート以来、もう一週間も学校に着てない・・・。いくら僕とのデートがつまらなかったとしても、学校に通わないなんておかしいよな。)

「シンジ、お前、最近元気なさすぎや。(トウジ)」

「まあ、理由は綾波のことだろうけどさ。(ケンスケ)」

(レイのやつ、ダミーシステムのテストに参加しているのかな。

あんな、非人道的なテストに、なんの意味があるんだ。綾波にあのテストを止めさせるためには、いっそ俺の正体話してしまうか?

(・・・未来のシンジが、ダミープラグが原因の一つとなって心の傷をおったことを知れば、あるいは。)

「お邪魔します。」

「ミサトさんは、留守なのかな?って、アスカ、バスタオル一枚で出てこないでよ。」

「あれ、あんた毎朝見てるでしょ?なにあせってんの?」

「なんだと、どういうこっちゃそれは。おまえ綾波と惣流、二股しとるんか。」

ぎろっ、とシンジをにらみつける、トウジとケンスケの怖い目。その勢いに押されるシンジだった。シンジ達に気づいたミサトが部屋から出てくる。

「二人ともいらっしゃい。」

「ミサトさん、いたんですか。・・・この度は御昇進おめでとうございます。」

ケンスケの行った事の意味がよくわからなく、ぼうぜんとするトウジ達。シンスケだけは、もうそんな時期かと、懐かしさに浸ったいる。

「ありがとうね。ケンスケ君」

「?なんなんですかいったい?」

「ミサトさんの襟章だよ。線が二本になっている。一尉から三佐に昇進したんだよ。」

「へえーっ、知らなかった。」

「そういうことで、ミサトさんの昇進を祝って、今日は焼肉大会だ。やるぞー。」

<おうーっ>とは、誰も続かなかったが、焼肉大会は、行なわれることになった。レイを誘おうとしたシンジだが、連絡が取れ無かった。

結局、加持とヒカリが加わることになった。シンジの目は焼肉大会の最後まで死んでいた。

「シンスケ君、約束の松代の土産だよ。他のみんなの分もあるよ。」

「こいつは、ありがたくいただきますよ。。」

シンジのお返しとは、未来の詳しい情報のことである。焼肉大会中のミサトの豪快な酒量に、トウジ達は驚くばかりであった。

(ミサトさんって、いったい普段どのくらい飲んどるのや?)


翌日、第十使徒が現れた。自らの体を爆弾のように、上から落とす使徒である。

ミサトの立てた使徒への対抗策はエヴァで直接、使徒を受け止めると言うもの。MAGIによると成功確率は0、01%以下であった。

(何もかもシンスケ君の言ってた通りか。どうも彼が未来から来たって話しは嘘じゃなさそうだな。)

ミサトは子供達に作戦が成功したら、うまいものをおごることを約束し、第十使徒戦会議が終わった。その直後、通路で加持と会うミサト。

「まだ、いたの。逃げないの?」

「逃げてどうするんだよ。この使徒が撃退できなきゃ、サードインパクトが起きるんだろ。だったらここに残って、シンジ君たちの活躍を見守るさ。」

「それもそうね。まっ、私はどっちにしても逃げるわけにはいかないんだけど。」

「ま、死ぬなよ三佐殿。」

(どうも、俺はエヴァが、今回の使徒に負けるとは思わないんだよな。NERVが勝つことが何か仕組まれてる気がするな。)

加持の予想はあたっていたのかもしれない。レイの調子が悪く、零号機が使徒を受け止めるのが少し遅れた。

しかしシンジがATフィールドで使徒をキャッチし、アスカがプログナイフで殲滅。意外と楽な勝利であった。

戦闘後、加持はシンスケに、自分達と一緒に、食事を食べに行くよう言われた。南極のゲンドウがシンジに通信機を通して、こう言った。

「シンジ、よくやった。」

それは、シンスケにとって父の最初で最後の父らしい言葉であった。

シンジにとってもそうなってしまうのだろうか?そんなふうに考えながらシンスケはシンジのうれしそうな顔を見つめていた。


結局、レイが肉を食べれないと言う理由からラーメンを食べにいくことになったシンジ達。

レイ達の注文したメニューが前回と同じであったかはシンスケの記憶にはない。

「加持、どうして、あんたがここにいるのよ。」

「シンスケ君に一緒についてくるよう言われてね。まっ俺の仕事はアスカの護衛もあるから、ここにいることも仕事さ。」

シンスケが、加持にそっとつぶやく。

「この後、監視の目のないところに移動できませんか?」

こくっと、うなずく加持。他の4人は、?マークの表情であった。ミサトの車の中のシンジ達。シンスケは加持の車に乗っている。

「ミサトさん、ぼくは父にほめられたくてエヴァに乗っているのかもしれません。」

「そんなことでエヴァに乗ってるの?アンタ本当バカね。」

そのシンジの淡い期待が崩れ去るのは2時間後のことであった。


「なんなのよ、大事な話しって。私は疲れたから早く寝たいのよ。」

ミサトの家。シンスケが大事な話しがあるといい、<今度にして>と言うアスカ達に対して、どうしても今晩話すと譲らないのである。

ごくごくっと、シンスケは一杯、お茶をがぶ飲みするといきなり切り出す。

「第11使徒、ハーモニスクステスト中突然出現。これまでと違いナノサイズの使徒であり、MAGIを乗っ取られるも後一秒の所で、ぎりぎり殲滅。」

「第11使徒ぅ、ちょっとシンスケ君、何言って・・・」

「質問は後で受けるから待ってくれ!次、第12使徒の形状は球形だった。碇シンジ、つまり俺がアスカの挑発に乗り、独断で出撃。使徒の虚無空間に飲みこまれる。」

「その約十六時間後、赤木リツコの指示により初号機のサルベージ作戦がけっこうされる直前に、初号機が暴走。使徒を倒し、現実世界に俺は帰った。」

「ちょっと、兄さん、どういうことなの?」

「その戦闘後、四号機が完成し、フォースチルドレンも選出される。この四号機の起動実験が松代で行なわれるが、その実験最中、四号機は第13使徒に乗っ取られる。」

「以後、NERVはエヴァ四号機を第13使徒と認定した。パイロットが出撃するも、ファースト、セカンドチルドレンはすぐに撃沈された。

「俺は戦う意思がなかったため、碇指令はダミーシステムを起動。第13使徒は殲滅されるが、フォースチルドレン鈴原トウジ、片足をなくす。」

「第14使徒、始めに出撃した、エヴァ零号機、エヴァ弐号機、倒される。その後、出撃した初号機は内部電源を切れてから暴走。俺のシンクロ率は400%に達し使徒を殲滅。

「しかしあまりの高シンクロ率のため俺はエヴァに溶けてしまった。約一ヶ月後、サルベージが完了し、俺は再びサードチルドレンに戻った。」

「その頃、俺にシンクロ率を抜かれた焦りから、アスカはシンクロ率が低下していた。第15使徒に精神攻撃を食らって、その数日後入院。結局最後まで退院することはなかった。」

「第15使徒はレイが投げたロンギヌスの槍によって殲滅。この戦いの前後に三重スパイだった加持さんが、暗殺されたと思われる。」

「アンタ、いいかげんにしなさい!」

「第16使徒、弐号機はもはや動かず、レイが始めに出撃。俺の出撃直後、レイが自爆。これによって、使徒殲滅。死んだと思われていたレイが生存していたと言う情報が入った。」

「・・・俺が喜んでレイを見に行くと、彼女はなにも覚えていないと言い、俺にこう言った。<多分、私は3人目だと思うから。>」

「あ、あ、シンスケ君・・・・」

「ちょっと兄さん。レイが泣いちゃったじゃないか!おかしなこと言うの・・・」

「当然、わけがわからなかった俺だが、リツコさんが人工進化・・・」

人工進化研究所 第3実験場?(レイ)」

レイの声はもう完全に涙声だった。

「そう。多分そこだ。とにかくその部屋に連れてこられた俺は、信じられないものを目にした。試験管の中にたくさんの綾波が泳いでいた・・・。」

「確か魂はないとリツコさんは言ってたな。結局レイの元の魂は今でも俺は知らないが、レイが作られた人間で、その魂が今の二人目の綾波から三人目の綾波に引き継がれたのは間違いないようだ。」

「レイの自爆で第3新東京市はすっかり廃墟になってしまった。そんな廃墟の中で出会ったフィフスチルドレン、渚カオルと俺は親友になった。でも、彼は使徒でもあった。」

「親友である彼を・・・俺が殺してしまった。」

「その数ヶ月後、ゼーレと戦略自衛隊がNERVに攻めてきた。攻めてきた理由は俺も知らない。その戦いで俺を助けてミサトさんは死んでしまった。」

「他にも数え切れないNERV職員が殺され、量産機によって、奇跡的に復活して二号機に負けた。俺が初号機で出撃すると、俺をよりしろとしてサードインパクトが起きたんだ。」

「俺が次に気づいたときは一面赤い海の世界だったよ。隣にアスカがいたが彼女はすぐに息を引きとって、いつしか俺も意識を失ったみたいだ。」

「そして、目がさめたとき俺はびっくりしたよ。なにせ、俺以外にもう一人碇シンジがいたんだからな。俺はすぐに悟ったよ。自分がタイムスリップしたことにね。」

シンスケの声が止まると同時に葛城家に長い沈黙の時が訪れた。


後書き

ついに未来のことをシンスケが語りました。これからシンスケを実戦でエヴァに乗せようかどうか迷っています。このままサポートに徹するべきなのかもしれない・・・。実は過去の事を淡々とかたって行くのはあるエヴァSSのパクリです。

次回予告

「ついに自分の正体を話し始めたシンスケ。ゼーレのシナリオに無かった、彼の存在により、未来はどうのように変わっていくのであろうか?次回、エヴァ2回目<低シンクロ率>絶対見るのよ!」


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