第一話「出会い」

よう、俺は「前原進」って言って秘密組織NERVの新人カウンセラーだ。

S大学出身で今は二十二歳。つい、3週間前に、ここに就職したばかりさ。

なんでも、使徒って組織を倒すのが家の組織の目的らしい。まぁ、俺には直接関係ないって思ってたんだが…。

そんな俺に碇司令直々の命令があった。新米の俺は、かちんこちんだった。

「前原君、君は優秀なカウンセラーだ。ぜひ、この愛想のないレイを何とかしてやって欲しい。」

綾波レイ・・・かわいくて、きれいな女の子だった。俺はこの時始めて彼女に会ったのだ。

しかし、俺はただの新米カウンセラーで優秀もくそもないと思うんだが・・・。

「コミュニケーションの勉強のため、今日からNERVの第2宿舎で一緒に暮らして欲しい。むろん、養育等に必要な金はすべてこちらで用意する。」

「えっ、一緒にですか?それはさすがにヤバイのでは。14歳と言えば、もうそういう年頃ですし。」

「問題ない。」

問題ないって、ありまくりだぞ。そう思っていると隣の冬月副司令がフォローして来る。

「彼女と少し接してくれればわかるんだが・・・、3歳の頃からEVAの訓練ばかりしてきたから、そういう常識が異常に疎いんだ。だから、大丈夫だよ。」

・・・俺が大丈夫じゃないんだよ。まだ独身で彼女もいないってのに、こんなかわいい子と同じ屋根の部屋に寝たら・・・正直襲わないって自信がない。

とは言え、上司命令に逆らうわけにはいかない。俺はわかりました、と言うほかなかった。

綾波レイ・・・ファーストチルドレンと言って、使徒と言う化け物に戦うため訓練された少女兵だ。

なんでも15年前のセカンドインパクトの原因はその使徒にあるらしい。

そんなもの大人の軍人がやればいいではないのか?

・・・そう、思ったが、たった今、指令からもらった資料によるとそうはいかないらしい。

なんでもこの使徒と戦えるのはEVAという兵器だけで、これが乗れるのはチルドレンと呼ばれるごく一部の思春期の子供だけらしい。

なんで、一握りの子供しか乗れないかは俺に聞かれても知らん。

とりあえず、新しく与えられた部屋にレイちゃんと一緒に行ってみることにした。

広くて、なにもない部屋だ。まあ、新しく入ってきたところだから、こんなものか。

一応、生活に必要なものはそろってるんで問題はないが。

しかし、広すぎるよな。・・・家賃どのくらいかかるんだろ?

まあ、NERV本部内にあるんだかし、きっと司令がこれも、無料にしてくれるんだろうが。

家賃浮くぜ・・・助かったよ。新米で給料も少なくて、けっこう苦しかったんだよ。

でも、さっきからレイちゃんなにも話さないな。・・・緊張してるのか。

「どうレイちゃん、新しい家は?」

レイちゃんの過去の事はあまり聞かない方がいいだろう。

こんなことを頼まれるぐらいだ。

きっと両親もあのセカンドインパクトで亡くし、その後も訓練、訓練でつらい日々を送ってきたんだろう。

まぁ、一応、カウンセラーだから、これぐらいは気遣ってやらないとな。

「別に・・・。」

・・・もうちょっと何か感想ないのかな。せめて、「広い部屋だわ」とかねぇ。

「あっ、そうだレイちゃん。嫌だと思うけど、今日から司令の命令で一緒にここで住む事になっちゃたから、前の家から必要なもの持っておいでよ。俺も手伝うからさ。」

「なにもないわ。」

・・・なるほどね、無愛想な子なんだ。顔は、かわいいのにもったいない。

「あっ、そうそう学校はいつからなのレイちゃん。」

あっ、やばかったかも。もしかしたら訓練で学校は行けないのかもしれない。

「四月七日から、登校することになっているわ。」

あさってからって事か。よかった〜、もし登校できなかったら、いきなりつまずくところだった。

「まぁ、一緒にデパートでも行くか。日用品そろえなきゃいけないしね。」

「わかりました。」

日用品ね…考えてみれば、俺もこういうのダメなんだよな。寮も主人のおばちゃんがけっこう用意してくれてて、めしなんかも安く準備してくれたし。

・・・今日から料理を作らなきゃいかんのか。やっぱり元の寮の方がよかったかもしれないな。

まず、包丁にまな板だよな。鍋なんかは元々部屋にあったはずだから。・・・こんなこと、不器用な俺よりレイちゃんの方が得意かもしれないな。

「とりあえず、この包丁とまな板だけ買ったけど、他に料理で必要なもの何かある?あっ、よっぽど高くなきゃ、お金は気にしなくていいからさ。」

「・・・・・・。」

「あの、レイちゃん黙ってないでさ。何か言ってよ。」

「わかりません。」

・・・レイちゃんもダメなのかこういう事。まだ14歳だもんな。女の子でも築かなくても無理はないか。こんな言い方だと男女差別に取られるかもしれないけどね。

・・・そう言えばレイちゃんの服とかも買わなきゃいけないのか・・・。なんだか恥ずかしいな。

普通なら適当にカードだけ渡せばいいかもしれないけど、どうも今までのレイちゃん見てるとなぁ〜。

まぁ、俺に緊張してるだけかも知れないけどな。

「他に日用品で買うものある?俺がいると買いづらいならカード貸すけど。」

「・・・ないです。」

う〜ん、やっぱり遠慮してるのかな。まぁ、司令からNERVでの給料のカードも、もらってるそうだから欲しいなら、自分で買う分はあるだろ。

・・・暑くて、喉かわいてきた。いつもなら安い缶ジュースでも買うけど、レイちゃんとゆっくり話すためにも、そこの喫茶店に入るか。

そこの喫茶店の名前は”ポアレ”って名前だった。なんだが、あの漫画の喫茶店と同じ名前のような気が…。いや、一文字だけ違うのかな?

「レイちゃん、なに頼む?1000円までならO.Kだけど。」

・・・いつもは絶対そんなに使えないけどね。まあ、半分これも仕事だしな。こんな言い方レイちゃんには失礼だけど。

「別になにも入りません。」

遠慮してるにしても、普通安いジュースでも頼む気がするけど。・・・こんだけ暑いから喉乾いてるだろうし。

「じゃ、このショートケーギセットでいい?俺も同じもの頼むから。」

「はい、わかりました。」

何か口調が事務的だよな。小さい頃から、NERVで育てられたからな。

今の子なんて、敬語使いなれてなくて、気をつけても思わず、思わず日常生活の癖がついてしまうもんなんだが。

逆にいうと、そんな癖がつくほど、楽じゃなかったって事か。ホント、こんな平凡に育ってきた俺にこの子にどうこう言う資格ないよな〜。

・・・実はカウンセラーになろうと思った時もそれで迷ったんだよ。

自分みたいな平凡な人間が過酷な環境で育った人に、何かしようとしても、普通に育つ事ができた、お前に何がわかるんだって、言われそうな気がして…。

まあ、受けた大学が、たまたまカウンセラーの資格取れるとこだけS大学だけ受かっちゃったから、こうなったんだけどね。

さて、そろそろケーキとコーヒー来るかな。ちょっと遅いような。

あっ来た来た。・・・まぁ実は俺ショートケーキよりもモンブランの方が好きだったりするんだが。値段も同じだしね。

でも、なんとなく女のこってショーとケーキが一番好きな気がするんだよね。・・・根拠なんてまったくないけど。

さてさて、食べるとしますか。もぐもぐ・・・まぁ普通の味だな。やっぱりモンブランの方がよかったような気が。

コーヒーも頂きますか。・・・インスタントと変わらない気がする。ふん、どうせ俺は味覚なんてありませんよ。

しかし・・・レイちゃん何で制服なんだ?ふつう色々おしゃれするんじゃ。

・・まぁ、俺と一緒でそんなこと興味がなかったとしても制服ってのは普通ないよな。

「どう、ケーキは?」

「甘くて、美味しいです・・・。」

う〜ん、やっと普通の言葉になってきたな。セリフ短いけど。

さてと、そろそろ帰るとしますか。行きと同じで30分ほど歩いて部屋に戻る。

うー、また喉乾いてきた。今日は特に暑いよな。先のコーヒー量少ないよ…。ケーキみたいな甘いもん頼むと余計喉が乾いてしまうし。

仕方ないので、自販機で緑茶を買う事にした。・・・ホント、今日は無駄遣いだけしたような。

「レイちゃんも、同じのでいい。」

「はい。」

・・・またまたセリフが短いぞ。もうちょっとさ、自分から話しかけるとか何とかしてくれよ。

その後、俺とレイちゃんは無言のまま帰宅するのだった。一言ぐらい何か言ってくれよ!これじゃ、周りの空気が冷たい気がする・・・暑いのに。


後書き

カップリングをメールまたはなんでも掲示板で募集します。以下の中から選んでください。二つまで同時解答O.Kです。前回のカップリング希望ではぜんぜん解答がなかったんで、今回はぜひお願いします。

<前原×レイ  シンジ×レイ  シンジ×アスカ>


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